小野花梨×風間俊介+若村麻由美。
漫画原作。軽度の知的障害のあるおんなのこの出会った恋の話。男性のもとめに応じることしか存在価値がないと思い、応じてしまうような生活のなかで、新しいアルバイト先の運送屋さんでやさしい年の離れた男性に出会う。
原作漫画を読んでいたので、ドラマ化を聞いた時、有紗役を演じるのは難しいだろう、誰がやるのだろうかと思ったら、このキャスティングナイス!
小野花梨。さいきんはなぜか癖の強い役が多くどうもワンパターンだなと思っていたが、ここにきて元天才子役の能力を存分にみせるチャンス到来か。有紗の子供のような天真爛漫さと戸惑いの目線、うまく引き込まれました!一生懸命かんがえて止まって困って笑って、思ったことがそのまま顔に出て、そんな気持ちがよく伝わってくる。
そして演技に定評のある風間俊介、この人も何だか癖のある変な役(失礼!)ばかりやっていて、損してるんじゃ?と勝手に思っていましたが、今回は良い人の役。不思議な面をもつ有紗をそのまんま受け止めて包容できる大きな器のぼわーんとした岡村さんにピタリとはめてきた。
そこに、毒づくがどこかに愛がうっすら見え隠れしなくもない濃ゆいアバズレ風母親役に若村麻由美。
ということで、話はタブーとされてきた領域に足を踏み込み重めなのだがピュア、演劇好きが見るべき作品になりそう。魔物やタイムスリップ、転生モノのようなお遊びファンタジー的要素か支配ドロドロ要素か暴力エロ要素なんかを加味して色を出す漫画原作作品が乱立するなかで、こちらは現代に確かに実在する問題のほんの一例をあたたかく見守る作品類型で別格。発達障害や人と違う部分にフォーカスする作品は増えてきている。性的な部分は出てくるもののそこも不可欠な要素として描かれる。
ふつうとかふつうじゃないとか、線を引くのは簡単なのか?誰がどうやってきめている?神様なのか?という気もするし、便宜上線を引くことで守れるものもあるのだろうし。でも、そういう世の中的な整理や扱いは一回横においておくとするなら、友達や恋人としてはその人自体が唯一無二なわけだから、そうなってくると神様目線はもう必要ないから、べつにふつうじゃないほうがいいんじゃないかとも思うし。あとは本人が少しでも快適でいられるなら。
ひとの本質的な価値とか相性とかについて雑念を捨ててピュア要素多めで考えさせられながら見たい。昔となりに住んでてたまに遊んだトモくん、元気かな。