萬田久子さん主演という勇敢な作品。足立梨花、加藤柚凪、モト冬樹。
長老が経験と知恵を生かして、地域のコミュニティをひとつにまとめ、問題を解決していく話。今都会で生きる我々に羨ましくて仕方ない、お金を出してでも欲しいようなものを描いている。子役ちゃん加藤柚凪が天才的。
長く生きることは是だ。教えてもらうことしかない。長く生きて色々悟ってくるポイントを体感してきた身としては、長く生きることが絶対的に強いと感じる。体が衰える面がマイナスだが、物事の把握力、対処能力は頭が明晰である限り伸びる一方向である。こればっかりはもし若者に反論されたところで、自分がまだ到達していないポイントからの視点に反論するのは無理があると一蹴できる。
年上の人達と日常的に飲み会が出来た時代が遠く去り、最近は何でもパワハラというパワハラ指摘権乱用の逆パワハラ時代で、いったいどっちが強いのかね(むしろ乱用している方が一時的に力を持っていて逆転)という世界。本来おしえてあげようかなという事柄がある日々の局面でも、もはや誰もそのリスクをおかしてまで若手年下を教育する気力を維持しない、もとよりメリットはなく自分が先輩からもらったものを後輩にお返ししようという理念なのだが、メリットがないばかりかデメリットが増え完全にバランスを失した。実際危険だしね。
昔ギブアンドテイクという言葉があったが、親じゃないので無償の愛のようなものは出せぬ、他人に何かを与えるためにはメリットはなくとも最低限の受け入れる側の礼儀や敬意は必須であり、それがなくなった今、与えることは著しく困難。ただ、局面はいつでも変わり得る。日本のように長いものにまかれる傾向が強い社会においては、いったん風向きが変わると、日和見部分が一気にうごくことはありえるとは思う。年をとるということは、後ろに続く世代に何か教えたい欲求も芽生えるということでもある。(本当に許されてはならないパワハラは許してはならず戦うなり逃げるなりして排除すべきだが、そうでなく)教え方が下手な先輩がいたとして、目の前の一瞬の快適を取りに行くのをやめて、小学校の先生がうるさくてもいちいち歯向かわなかったあの感覚で、年長者と良い関係性を学べた若者が最終的に豊かな知恵を得るのではないか。面倒なことと自分に利益があることはセットで来るものだ。楽して何かを得ようというのは、ギブアンドテイクではない。
子供を育てるなら核家族の都心の高層マンションの冷たいコンクリの壁のなかではなく、自然のなかで、できれば大家族+地域コミュニティのなかで育てたいと思う人はいるのではないか。田舎のコミュニティには独自のややこしさや人間関係のしがらみなどもあり、一長一短では語れないが、相性が合うところを見つけられるならナチュラルで本質的な教育ができるだろう。そういう願望がむくむくとわいてくるドラマ。もっと年上の人達と話したり、叱ってもらったり、私は、今むしろしたい。