(新)〇△「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」

松岡茉優×芦田愛菜×加藤清史郎。「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」のプロデューサーと監督によるオリジナルで、続編説もあったらしいが、確かに設定に類似点。

松岡茉優が、全てをかけて全力で高校三年生のクラスに向き合おうとする教師役。今までの中でわたし的にはもっとも嫌味消えてバランス良くなってる気がする。生徒役のなかに、すっかり大人びて怖い表情も似合う芦田愛菜ちゃんが長台詞と泣きの演技。そしてあんなにかわいかったこども店長が、見事なグレっぷり披露で幅広げ中の加藤清史郎くん。彼らの成長&完全なる新世代台頭を観察。

話は卒業前の高校のとあるクラスの1年間で、時間巻き戻しあり。家庭教師のトライ監修ドラマのひとつ、以前の「家庭教師のトラコ」も攻めてたが、今回も攻め一択か。教師にとって不遇すぎる現代の教育現場に対して言いたいことを詰め込める成功系教育企業の判断と勇気に拍手したいし、期待したい。

1話だけでは分からないが、温度感は3年A組に似ている。万人受けは狙わず、議論を巻き起こすのが狙いか。生徒役に若手期待株も多そう。期待を込めて〇△。主題歌「ユアーズ」は3年A組の菅田将暉。

著しい技術革新の裏で大人ですら共感力が失われつつある現代において、思春期の凸凹をかかえる生徒たち、それぞれに自分のなかでいっぱいいっぱいな過酷な背景があるだろう。大人が外から眺めても本当の辛さは理解できないかもしれない、学校という小さな閉じた社会をどう乗り切るのか、毎日が大げさではなく必死なはず。親も先生達も成長過程のひとりの大人であり、聖人君主や神様ではないのだから、大人や親が解決できずに残した課題が子供たちに皴寄って、小さなゆがみの縮図を生んでしまう。

ただ、これは根本的に無くすことができるようなものではなく、どの時代にもある程度は存在してしまうだろう。短絡的に悪とラベルをうって距離をとって終わっても何の意味もない、何がどう絡まっているのか、まず問題自体を見つめる必要がある。そこから何らかの知恵を生み出せるかどうか、一度爆発させてみるとか、必要なら逃げさせるとか、命や可能性をつまないためならば、あらゆる手を尽くしてよいと思う。繊細ゆえに触るのは危険ではありつつ、アンタッチャブルですましてはならない重要な社会問題に取り組む挑戦か。