最終回完了 個人的好み判定  〇「あなたがしてくれなくても」しあわせ探しの迷路も千差万別、自分達次第

漫画原作。セックスレスの二組の夫婦。運命のいたずらで交錯する思い。同情?同じ悩みの同志?逃避?奈緒×岩田剛典×瑛太×田中みな実+武田玲奈+ほないこか。


夫婦のことは外からは見えないカーテンのなかのカモフラージュ。何がここちよくて何が許容範囲を超えるか、他の人の場合のことがほぼ参考にならない世界。どのポイントがつらくて、にげたいのか、どんな言葉がほしかったのか、どんな言葉だけは言ってはいけなかったのか。地雷、急所はかなりの数はあるけれど、万能リセットボタンはたぶんない。


どんなきっかけが分け目になるか、もわかりにくい、それぞれ違うし、自分の相手のことはフルに理解したいと思っても他人なので100%は無理。二つの夫婦はもとからあった軋みに、風がふきこんで、軋みに向き合う運命に翻弄された。でも、それはきっかけであって、それがなくても同じことがあったかもしれないし、何か別のきっかけで違う展開もあったかもしれないけど、恋愛や人生というものはそういうものであろうと思う。ただ、結果として、踏みとどまろうとして踏みとどまれるもの、踏みとどまれないものがある。どんなにみじめで辛くても、二人のどちらかが手を離さないことの繰り返しで何とかつながるということもある。

何とかつながっているところに宿るささやかな幸せは、ドラマとして万人が見てハッピーなエンドでないかもしれなくても、当人にとって良ければよくて、長年つれそった夫婦の闇を超えたその先の幸せというものは、かえって形のないものに昇華し、他の人から見えない平凡な瞬間に在るのではないか。すべてのパーツがそろう瞬間も幸せだが、何かなくても手をつなぐこともできる。

このドラマの非常にリアルな人生の経過ステージとして変わりゆく幸せを、これをどう見るかは、視聴者が今どこにいるか、どんな幸せを手にしたいステージにいるか、何を幸せと認めるか次第かもしれないと思った。ここがゴールでもなく理想でもない。個々の心次第。しあわせ探しの迷路は果てを探しているのではなく、その道半ばの今日一日こそが愛おしいものではないか。


Bzの「Stray Hearts」の歌詞と曲調がハマる。「おしえてあとどのぐらい」「まだ間に合う きっと間に合う」「ねえあとどのぐらい?」。どこへゆこうか、わたし次第。