キンプリ高橋海人×SixTones森本慎太郎。実在のお笑い芸人のオードリーの若林と南海キャンディーズのやまちゃんの話。
ふたりそれぞれの下積み時代からの特殊な性格と人生、彼らの才能を見抜き認め続ける人達、さらにそのなかに縁をつないでくれる人も現れ、林・山里の漫才コンビが出演する深夜バラエティ『たりないふたり』につながっていく。
オードリー春日役の戸塚純貴、南海キャンディーズしずちゃん役の富田望生も、よく特徴をつかんでいる。実際の2組のコンビの映像も残っているので見比べることができる時代、それらを完璧にコピーして魅力を引き出しきる俳優たちもスゴイ。
しかしなんといっても、主役の二人の理解力がすごい。高橋海人は顔は違うが声と喋りとヒネタ性格がまさに若林!森本慎太郎は赤い眼鏡が有利だが見た目や喋り方も含め屈折がひどいやまちゃんを好演。いやー、こういうときやっぱりジャニーズ俳優の努力と意地を見る。
もとの脚本も良くて、苦労話でもなく、成功話でもなく。人と違う自分をもてあましていた二人が、欠点と片付けてもおかしくない自分の特徴と向き合い、強みにしていく。もともと既に面白かったに違いないが、その才能が頂点に花開くには自分が何者か突き詰めなければならなかった。何かが足りないゆえの天才、天才ゆえの苦悩。自分が天才でないと思う天才たち。あと1ミリでもと、もがき努力を続ける天才たち。だからこその天才。
何か欠けていることがかえって魅力になるという、不屈のお話しは、人生の教訓になる。なんとか障害とかしきりに言われて、本屋にいってもそんな本ばかりの時代、カテゴリーを作ることはひとつの理解の枠ではあるけれど、それとどう共存するかはひとりひとりの物語になっていくのだ。自分の弱いところをさらして誰かを笑わせることができる、本当に強い実在のふたりの話は、他のドラマとはとてつもなく異質で、とてつもなく勇気を与える、迷作にして名作。