最終回完了 個人的好み判定 〇珈琲いかがでしょう

なかなかのセンスで良かった。何が良かったか、珈琲や中村倫也のもつ軽やかだったりジャズのようなちょいワル極ワルミックスなオトナオシャレな風合いをドラマ全体に巧妙にしかけつつ、中身では人間がそれぞれ抱える誰とも違う難問と向き合う苦しさみたいなものを描いている点。それは、白鳥が水中で必死にみずをかくように、一生懸命まえをむいて生きるということ。ほしいものを欲しいと言って、正直に淡々と生きようとすることを、途中バイオレンス描写も経ながら、人間のもがきを美しいものとして描いてくれた。

ザラザラした部分もそれぞれあるであろう人生に、それでも明日を想って小粋な珈琲感いかがですか?頂きます!

最終回完了 個人的好み判定 ✕私の夫は冷凍庫に眠ってる

最初の予感が的中。これはダメ。漫画ではこういう駄作はあるけど、地上波でコレはいかん。精神を病む事情はあるとしても、ただの連続殺人者と犯罪者のはなしで、だれも罰せられることも反省する瞬間もないまま、登場人物が美しいというだけ。まさか最後まで何の救いも教えも悟りもないとは。。せっかく良い役者さん達なのに気の毒の一言。

最終回完了 個人的好み判定 ◎「おちょやん」(NHK朝ドラ)

最高だった。従来のピチピチ新人美人女優が下手気味な演技からなんとか脱皮の兆し見せながら進む趣向と少し違うためか視聴率は今ひとつだったと聞くが、このドラマは凄かった。朝から感動して何度も泣いた。

主演の演技が牽引する世界観が確立し、ストーリの完成度高く、今の時代に非常にフィットし、文句のつけ所がない。いくつか適度に散りばめられた伏線が綺麗に回収され感動を呼ぶ点や、なんどか繰り返しでてくる劇中劇が現実のほうとリンクし主人公の気持ちが昇華というか成仏することで見続けた視聴者に勇気とご褒美を与えるあたりの構成は、作者の実力をあらわしていると思うが、凄すぎる。

そして、なんといっても、主演の杉咲花の声とセリフ、演技うまし。苦労の末に肝が据わった千代(喜劇女優)役の凄みがすごい。ちなみに主役の子供時代と、千代がひきとる子供役の2役の子役の毎田暖乃も物凄くうまい。ふたりとも万人がうっとりする系統の顔ではないかもしれないが、役になったとき抜群に輝き結果としてとても美しい。わたしはそんな女優さんこそ本当の女優さんだと思う。その意味で、このドラマはピチピチ若手美人発掘登竜門的なオヤジが喜びそうな朝ドラのツボをすりぬけ(排除し)、隙のない完成度で、ある意味朝ドラっぽくはない、それは先に民放で主演もはっていた杉咲花をあまり知らなかった視聴者の方々にはおそらく嬉しい誤算だったんじゃないかと思います。美しいですよね、千代役杉咲花。わからないひとはそれはそれでよろし。

わたしの受け止めは、現代版『風と共に去りぬ』(私の永遠のお気に入り)。強がりで、でも弱くてくじけそうになりながら、なんど苦難にあたってふみにじられても、歯を食いしばって立ち上がる、過酷をすりぬけたからこそ本当の強さを兼ね備え、ひとりでも生きられるようになった女性の生き様。男運というか夫婦運は幸せな時期もありつつ永続はしない彼女ら。それもまたリアル。ただ、彼女らはそれを悔いなくてすむほどの新しい展開を切り開く。コロナで先行き見えず皆が不安な未曾有の苦難の今、色々あるが厳しい現実から逃げずに戦い小さな幸せと共に生きることを歌いあげてくれました、ありがとう!

「そういう、目おおいたくなるようなことの先にこそ本当の喜劇がある、えらい遠回りして、ようやっとその事に気つけました」「そうですな、いまある人生、それがすべてですな」「生きるっていうのはほんまにおもろうてしんどいな」

脇ささえるかたたちもすごかった。最初は千代の不幸のはじまりともいえ、千代的には愛憎絡まる最悪な父親にトータス松本。そして、先輩人気喜劇役者の嫌われ役をやりきったホッシャン、最終的には理由が明かされ、職人あるあるというか、言葉足らずな日本男児っぽい渋い奥行きに驚き、それまでのことが腑に落ち感動を呼んだ。最後にいいとこをもっていったのは、戦争中にご縁が生まれNHKラジオドラマに引っ張ってくれる花車役のドランクドラゴンの塚地。起承転結の結のあたたかな温度感をつくりあげた。成田凌も大健闘、今まで見た中で一番うまかったので、まだまだ伸びそう(僭越)。篠原涼子や前田旺志郎も良い味。さらに鶴亀新喜劇の熊田さん役の西川忠志さんの最後の粋なはからいからの見守りきった最終週の千代を送り出す表情が100点満点。何度も泣かされてきた視聴者が最後に感動で涙するタイミングに見事にいざなった、完璧です。

今回たまたま堀井憲一郎さんの評https://news.yahoo.co.jp/byline/horiikenichiro/20210515-00238090/を先によんでしまったけれど、その方は「本当の家族とはなにか」を示した名作ドラマで、ただそれが最後3話になってやっと判明するつくりが呑気で惜しいという趣旨を書かれていた。ひとことでまとめるならそのテーマ&名作ということでまったく異論ないですし、素晴らしい評でした。

ただ、わたしには、この壮大な完成度高いドラマは、そのひとつの大テーマだけじゃなかったように思えるのです。人生と同じ、長いあいだには色々あります。今も世界中の女性にとって生きにくいのは戦争だけじゃない、生まれた環境による制約、教育を受けられないこと、自由のなさ(小さな千代はお金で売られていきます)、戦争、夫の浮気と離別、子供を授からないこと自体の寂しさとそれによる肩身狭さや不利益、人間関係などなど。その中で、最初に千代を苦しめたのは家族で、でも最後に千代を救ったのも家族でした。かつて憎んだ継母の栗子と姪の春子との束の間穏やかな生活が、千代の新しい足場になります。すべての苦労が無駄ではなく、彼女の力となり、幸せを見つけ出せた瞬間が描かれています。このために、すべての苦労話がかかれてきました、人生と同じです。もしすべて自分のなかで悔いなしと振り返る境地にたどり着けたなら。たぶん悩みや苦労のない人などいなくて、もがいたなかから笑顔を絞り出せたヒトに人生は微笑んでいます。塞翁が馬、終わりよければすべてよし、でも、人生はまだまだ続きます!

ありがとう、おちょやん!名作認定に心をこめて1票!!

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※最後までみてから改めて聞くと、主題歌「泣き笑いのエピソード」(秦基博)のサビもぴったり♡

「どんな今日も愛したいのにな」「笑顔を諦めたくないよ、転んでもただでは起きない、そう、強くなれるよ」「かさぶたが消えたなら、聞いてくれるといいな、泣き笑いのエピソードを」

(中間更新)◎今ここにある危機とぼくの好感度について

第3話までみて、すみません、遅ればせながら狙いが見えました!すごいよ、NHK!!いまの、何一つ意味あることを答えない語らない政権への痛烈な批判。NHKの勇気に涙がでそうだ~。ジャーナリズムなめんなよ、何人か何個か圧力に散っても、魂までは死んでない。NHKが許される範囲で一矢報いるつもりなのが伝わり、震えました!ありがとう!

国民が愚かなままだとタカをくくり、国民をバカにし、隠蔽し逃げ、言論の自由にあちこち実質的な圧力をかける政府を、国民は許さない、だが、思ってるだけで黙っていてはだめなんだ。過去の悲劇から学ばずの二の舞はありえない。

わたしも最近タクシーに乗る度、知り合いと会話する度に、何がおかしいかを意図的に声に出すようにしていたが、まさに同じ気持ちだー。フランス革命や香港のデモまでの暴力含む強い表現は日本人にできないとしても、あきらめて黙る善人にも罪ありで、目を覚まし(大学総長のI am awake now.に感動)、声をあげろ!

敗戦でアメリカからもらった民主主義(男女不平等、神風特攻隊の時代の日本人には敗戦しない限り自力では獲得しえなかった民主主義)を無意味な謎答弁と時間切れ作戦で踏みにじる政権。ほかの法律と全く違う最高法規である憲法は、権力の暴走から国民を守る目的のためだけに存在するものなのに、その憲法を権力者が国民に十分に意味を理解させないままに権力暴走可能余地を増やす方向で変えようとしている政権。戦前有力者の系譜を継ぐ者たちの自民党がずっと執念のように狙ってきたのは何か?

権力をもったものは古今東西同じ動機にとりつかれる、自分以外の何を犠牲にしても保身&権力維持するための、言論の弾圧、権力による独裁。そういうものだ、繰り返す歴史、ある意味その動機が生まれるのは想定内だ、だからこそ(自民党は嫌がるが)軍国主義で人の命が道具にされた日本を民主化させるために「アメリカがくれた」戦後の日本国憲法では、憲法改正だけは国民の特別な投票がなければ動かせないようになっている。国民を権力者(政府)から守り、悲劇を繰り返させないために他ならない。

「えらいひとは全体のためになることをきっとしてくれるとただ信じることが上品で、疑うなんて失礼だ」という謙虚だった日本人は騙されやすかった、詐欺師のカモ、搾取される者になりやすかった、変わらなければ危険だ。

何一つ説明しない、説明できない政府ならば断固Noを。黙ってやり過ごす1つずつの小さな分かれ道が、国民の生命と財産と幸福の悲劇への転落の入口になりうる。説明うけてないんだから、何が裏の動機か、ほんとうはどこに繋がってるか、良いのか悪いのか判断しようがない、だから意味あることを言わず批判から逃げ説明責任を果たさないならNoとしか言えない。説明しないひと達には必ず問題がある、言いたくない不都合な理由があるか、無能で説明できないか、どちらかだ。ならば、国民の答えはNoだ。

わすれてはならない、歴史上、政府権力者側の利益と国民の利益は、命や自由がかかるような重大な局面ではむしろ必ず対立する。

そうわかった瞬間に、この長いタイトルに込められた危機感が伝わる。これは有形無形なやり方で圧力を感じているであろうNHKからの、SOSというか、緊急危機速報だ。「今ここにある危機」。ドラマの形をとってはいるが、いのちを自由を守る行動を取るべき時がきたと知らせている。

さぁ、われわれは、民主主義教育のもと育った「危機的状況以外は働かない蟻たち」は、どうやって進むべきか。教科書で見た覚えのある民主主義が権力者によってむしばまれ始める音がする今、絵に描いた餅ではなく、自分のあたまで世の中と自分について考え、意志を表現しよう。平和ボケの幸せ時代はしらないうちに終焉していた、危機を乗り越えるために、全員で目を覚まそう!

ドラマ中で記者が総長に投げかけるキング牧師の言葉。「問題に対して沈黙するようになった時、われわれの命は終わりに向かい始める。」「そして、最大の悲劇は、悪人の暴挙ではなく善人の沈黙である。」

長編アニメ「龍の歯医者」再放送(NHK)

たまたまチャンネルあい、不思議な世界観に引き込まれた。原作は舞城王太郎。主人公の声は清水富美加。

日本語なのに聞き取り理解するまでに時間がかかる「龍の歯」「龍の歯医者」なるワード。出会いと極限のなかで、みずからの運命を受け入れるふたり。わかりそうでつかみきれない原作者のメッセージ。すべてはメタファーだと思われる。何度かみないと…。

「死」とか「キタルキワ」、「蘇り」。「循環」とか輪廻転生とか漠然とイメージする大いなるチカラ。考える、わたしは考える、わからなくてもすべての記憶を総動員して等身大で考える!生きるということ!

龍は何の象徴か、虫歯菌は、歯医者は。人間のなかの醜く苦しい感情、たとえばということで殺意か、否ひとの思いの残りカス。だれかが生きている間に見た感動した思いは残らないのか。

ベルの最期は成長のすえ使命をはたす決意。だれかの犠牲のうえに世の中の平和は成り立っているかもしれなくて、でも無知なまま生きてたりするかもしれない。人は死ぬと歯の向こう側にいく、、、人間て、、。敵対し戦っているんだが、パーツとなりなんのために戦うのか、結局は愛的ななにかにしか希望を見出しえないような…。自分が生きている世界を疑いゼロから見にいくきっかけになりそう。

深いテーマの闇にぶちこんでおいて、最後エンドロールの曲が小沢健二を可愛らしすぎるアレンジでって、なんか肩透かしというか、全部ウソだよ~的に幕を下ろされ、キツネにつままれた気分なのは私だけだろか?