第44回 創作テレビドラマ大賞 「星とレモンの部屋」NHK

この宇宙にひとりでも生きていける星があったらいきたいですか。最初のつかみが強い。さわやかな題名と、あけてみた中身には、かなりギャップがある。どちらかと言えば重いテーマ。

ヒキコモリの人達の立場にたってタンタンと描かれた世界が、凡庸普通なひとには初めての感じ。他の人から見たら理解できないような小さなことでも、誰かにとってははてしなく難しく遠いということがあるんだろうな。悲しい事件にも限られた対応しかできない自分に苦しみ、一風変わってるが精一杯の自分の中からのチカラで突破口を作った主人公。なんともやるせないけど、これはこれで一歩前進にちがいないんだと噛み締めるラスト。ココロのなかのお母さんとの会話が、彼女のなかに生まれていた、一歩ふみだしたいほうの自分だったように思う。たしかに…星とレモンの部屋だった!どこからでも、何度目でも、スタートラインはかける!

そういえば、ふと、久しぶりに梶井基次郎の名作「檸檬」を思い出した。黙ってそこにいるレモンのもつ魔法的なチカラが原動力。放送タイミングは春で正解、密閉された夜に穴があき朝が春が風がきたと願う。