沢村一輝のあたり役といえましょう。追い詰められた人間の狂気と正気の境目を演じきり見事。本田翼と横山裕も固い。犯罪を恨み防ぎたい、命をかけ恨み苦しみ、ともすれば自らも罪を犯す側におちいりそうなキワで戦う辛さ。AI使い犯罪を未然に防ぐコンセントの通称ミハンが舞台。バイオレンスシーンもあり、テーマと空気感重ため。アクションあり。
正義はかならず勝つともかぎらず不条理。おなじひとりのなかにも両面あったりする。わかった気になりたいけど、結局自分以外のことなんてホントの心の奥まで分かるわけないのかもしれない。だって自分のことだってわからないのだから。そんな意味では、生きてくのって、ひとりでさみしくてこわくてヒンヤリする。
警察等のおかげで守られている我々は尊敬するばかりだが、我々が普段知りえないところで、組織だけじゃなく個々人のレベルで深い闇や痛みがあるかもしれないことを垣間みたり想像するきっかけになる作品。
2020年明けのキムタクの「教場」でも、警察官内部に色んな気持ちやバックグラウンドを抱えた人がいること、そのうえで組織として維持する、代謝しながら強化するためにたくさんのひとがつとめていることを知った。
あたりまえなんだが、現実はかならずしもキリよくハッピーエンドになんかならない。人がいる限り恨みは無くならず犯罪の芽もかならず生まれてしまうのかもしれない。いつ誰が犯罪側に回るかも分からないのかもしれない。ただ、未然に防ぐことや最小限にすることや、犯罪をおかした人の心の闇と向かい合い根っこを理解することは、できるのかもしれない。そんな希望をもらった。